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エビマヨの会−2009年7月22日

 第7回:大腸結腸癌の高リスク患者におけるAdvanced Neoplasiaに対して,CTコロノグラフィーはある程度有用である

Regge D, Laudi C, Galatola G, Della Monica P, Bonelli L, Angelelli G, Asnaghi R, Barbaro B, Bartolozzi C, Bielen D, Boni L, Borghi C, Bruzzi P, Cassinis MC, Galia M, Gallo TM, Grasso A, Hassan C, Laghi A, Martina MC, Neri E, Senore C, Simonetti G, Venturini S, Gandini G.
Diagnostic accuracy of computed tomographic colonography for the detection of advanced neoplasia in individuals at increased risk of colorectal cancer.
JAMA. 2009 Jun 17;301(23):2453-61.
PubMed PMID: 19531785.

チェックシートは はじめてダイアゴンシート4.2

背景: 平均的な結腸直腸癌のリスクの患者におけるCTコロノグラフィーの診断能についてはよく知られているが,ハイリスク患者における有用性はよく分かっていない.
カテゴリー: 診断
研究デザイン:
 多施設横断研究
資金源: AIRC (Italian Association for Cancer Research) for 2005 through 2007, a grant for Progetti di Ricerca Finalizzata from Regione Piemonte, the Fondazione Cassa di Risparmio di Torino, and the Compagnia di San Paolo
利益相反: 記載なし
1.論文のPECOを探る:
P: 次のいずれかの条件に当てはまるもの
   グループ1: 患者の一親等に60歳以前に進行結腸直腸新生物を診断された,現在(本人が)40〜65歳の人(家族歴群)
   グループ2: 結腸直腸線腫を内視鏡的に切除し,内視鏡サーベイランスプログラムに参加した18〜70歳の人(ポリペクトミー後群)
   グループ3: 便潜血反応(FOBT)でが陽性だった59〜69歳の人で,結腸直腸癌スクリーニングプログラムに参加した人(FOBT陽性群)
   除外基準: 家族性線腫性ポリポージスや遺伝性非ポリポージス結腸直腸癌と臨床的に診断されている
           3年以内に大腸内視鏡やS状結腸鏡で正常と言われた
           研究参加時に体内に癌がある
           生命予後が限られている重症併存疾患がある
           炎症性腸疾患,セリアック病,自己免疫性疾患
           臨床的に結腸の画像検査が必要な症状や徴候がある
           大腸内視鏡を行うことが,害をもたらす危険性が増える証拠があると内視鏡専門医が判断
           大腸内視鏡が禁忌となるような心理的または身体的状態
           抗凝固療法
           研究開始時またはCTコロノグラフィー施行時に妊娠している
E: CTコロノグラフィー
   4列以上の装置を用いる(16列が70.3%)
C: 大腸内視鏡検査
   CTコロノグラフィーを行った3時間以上経過した後の同日に行う
O: 6mm以上のadvanced neoplasia(進行した線腫または結腸直腸癌).
   1人で2つ以上の病変が見つかった場合は,病理学的に最も悪いものをindex lesionとする
2.C(Comparizon)には,gold standardが用いられているか?: 大腸内視鏡検査は6mm以上の病変に対して,感度98.7%,特異度99.6%(Lancet 2005 Jan 22;365(9456):305)なので,ほぼgold standardとして考えて良い.
3.研究で行われた診断法は,いずれも全ての患者で行われているか?: いいえ.CTコロノグラフィーを行った982人中,大腸内視鏡を行わなかったのは,CTコロノグラフィー陽性者の1.6%(4/251),CTコロノグラフィー陰性者の0.7%(5/731).また大腸内視鏡を行ったが検査結果が得られなかったのが,CTコロノグラフィー陽性者の1.2%(3/251),CTコロノグラフィー陰性者の4.5%(33/731).したがって,CTコロノグラフィーを行った人のうち,大腸内視鏡検査の結果が得られなかったのは4.6%(45/982).
4.研究で行われた診断法と最終診断の判定は,互いに独立に行われているか?: 検査は,CTコロノグラフィーがさきであるので,CTコロノグラフィーの結果は大腸内視鏡検査結果は参照できない.大腸内視鏡での結果判定の際には,最初は内視鏡専門医はCTコロノグラフィーの結果を知らされていないが,各大腸セグメントの評価が終わるごとにそのセグメントについてのCTコロノグラフィーの結果は知らされる.仮にCTコロノグラフィーで陽性にもかかわらず大腸内視鏡検査で陰性なら,再度そのセグメントを再検する.つまり,大腸内視鏡検査の結果判定は,CTコロノグラフィーの結果を参照されるので,独立ではない.
5.研究で行われた診断法と最終診断の判定は,いずれもその方法が明確に記載されているか?: はい.
6.研究で行われた診断法と最終診断の判定は,いずれも再現性があるか?: 検討せず.
7.結果の評価:
有病率(検査前確率): 177/937=18.9%
primary endpoint(advanced neoplasia 6mm以上)についての2×2表(Figureから作表)
Advanced neoplasma(+)
(大腸内視鏡で陽性)
Advanced neoplasma(-)
(大腸内視鏡で陰性)
CTコロノグラフィーで陽性 151 93 244
CTコロノグラフィーで陰性 26 667 693
177 760 937

  • 有病率18.9%の場合のこの研究で,陰性的中率が96.3%であり,検査陰性で大腸癌を3.7%見逃す.
CTコロノグラフィーの尤度比(Table 3と本文より計算)
感度 特異度 陽性尤度比 陰性尤度比
Primary endpoint
 6mm以上
85.3% 87.8% 7.8 0.17
Secondary endpoint
 10mm以上
90.8% 84.5% 6.7 0.11
ディスカッション:
  • 全ての患者で検査が行われていないのが問題.
    CTコロノグラフィーで病変が見つからなかった(CT陰性)群で,大腸内視鏡が回盲部まで到達しなかったために除外したものが多い.
    大腸内視鏡が回盲部まで到達しなかったのが,CT陽性群で3例/251例に対して,CT陰性群では33例/731例だった.
  • この研究では,1回の前処置でCTコロノグラフィーを行い,その3時間以上後に大腸内視鏡検査を行っている.
    ということは,大腸内視鏡検査としては,前処置からの時間が通常の大腸内視鏡検査よりも長くなるので,より腸管内の便が排出されて奇麗になっている可能性が高い.
    これは,大腸内視鏡検査をゴールドスタンダードに置いているのであるから,見落としがなくなるという意味では良いだろう.
    しかし,CTコロノグラフィーのための手技が大腸内視鏡検査の結果に何らかの影響を及ぼしている可能性はないだろうか.
  • また,本研究では検査者間一致度を検証していないが,CTコロノグラフィーを行うために本研究では施設を選定している.
    これは,CTコロノグラフィーの画像構築,読影には一定の経験が必要であり,容易に出来るものではないことを示している.
    したがって,経験のない人にはCTコロノグラフィーの結果は誤診に繋がる可能性がある.
  • CTコロノグラフィーの存在意義は,患者が苦痛を味わう大腸内視鏡検査を行わずに大腸癌がないとお墨付きを与えることである.
    そのためには,CTコロノグラフィーの陰性尤度比,陰性的中率が優れているということが必須であるが,本研究では陰性的中率が96.3%であり,逆に言えば,検査が陰性だった場合,3.7%はまだ病変があるのに見逃すことを意味する.
  • CTコロノグラフィーはあくまで形態診断であり,病変が見つかっても質的な診断をするためには,生検するために大腸内視鏡検査を施行しなければならない.
    つまり,CTコロノグラフィーで陽性なら結局大腸内視鏡検査を行う必要があるということであり,CTコロノグラフィーの陽性尤度比,陽性的中率はあまり重要視する必要はない.
  • 本研究で用いられたCTは16列が最も多く,全体の70%程度を占める.
    32列以上であれば,さらに精度は上がるだろうが,逆に8列以下では精度が下がると考えられる.
結局のところ,この診断法は使えるのか:
  • 患者にとっての大腸内視鏡検査の苦しさは,検査そのものよりも前処置の苦しさを訴えることが多い.
    CTコロノグラフィーを行って陽性だった場合に,再度大腸内視鏡検査を行うことになるのであれば,前処置を2回行わなければならないのは,かえって患者の苦痛を増す.
  • さらに,陰性であった場合も3.7%は見逃すことになり,CTコロノグラフィーのみで大腸癌を否定するのは危険である.
    そういう意味で,ハイリスクの患者にスクリーニング目的に大腸内視鏡検査の代用としてCTコロノグラフィーを行うというのは,勧められない.
  • 無症状,便潜血陰性患者でのCTコロノグラフィーの陰性的中率は高いが,癌検診でCTコロノグラフィーを行うのは,cost-benefitを考えたときには無駄が大きくなる.
  • CTコロノグラフィーを考慮する場面とは,健診で便潜血反応が陽性だった場合に大腸内視鏡検査を行う代わりに選択する場合だが,それでは検査前確率が高くなるので,見逃し症例が多くなる危険がある.
  • 日本では,健診における便潜血陽性率は5〜6%程度,便潜血陽性者における大腸癌の発見率は2%程度とされているので,本研究の1/10程度の有病率になる.
    検査前確率2%の場合の,CTコロノグラフィー陰性の検査後確率は,0.35%になる.
    これを多いと見積もるか,少ないと見積もるか.
    ちなみに,検査前確率2%の場合の,大腸内視鏡陰性(陰性尤度比0.013)の検査後確率は,0.02%になる.
  • CTコロノグラフィーの画像構築と読影には経験を要するので,経験の浅い人が結果を判定するべき検査ではない.
    専門施設で集中的にスクリーニングを行うということになるのか.

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