このページへリンクを張る際は, | ホーム >
EBMについて〜医療従事者でない一般市民の方々のために〜 ここでは,医療従事者でない一般市民の方々を対象に,EBMと医療のあるべき姿について,ごくごく簡単に,できるだけ分かりやすく解説します.まだ不十分な箇所がたくさんありますが,少しずつ説明を加えていくつもりです.
EBMとは?EBM(evidence-based medicine,根拠に基づく医療)は,よりよい医療を提供するための一つの方法論です. このような方法論は,一般市民の方々には当たり前のように聞こえるでしょう.しかし残念ながら,実際の医療現場では,コミュニケーションが不十分で医師が患者さんの思いを十分に把握していなかったり,効果の定かでない薬が深慮なく使われたりしています.現在の医療は,今までの習慣にならって何となく行われてきたというのが実状です.そこで,原点に立ち返り,よりよい医療を効率的に行うための方法論として提唱されたのが,EBMなのです. そもそもこの5つのステップは,実は医療に限らず,私たちがあらゆる場面で物事を判断するときに用いているものです.例えば,買い物に出かける場合,新聞の折り込み広告を見て,あそこのスーパーの方が野菜が安いから行ってみようというように,何か行動を起こすときには,役に立つと思われる情報を探し,それが正しいかどうかを判断しながら使っているわけです.
よい医療,よい医師,よい患者ところで,買い物に行くのに値段が安いスーパーを選ぶ人ばかりとは限りませんよね.家から近いところの方が便利だと思う人もいれば,もっと遠くてもちょっと高くても,とびきりおいしいリンゴを売っている八百屋さんの方がいいという人もいるかも知れません.あるいは,今日はリンゴが安いけれど,欲しいのはミカンだという人もいるでしょう.このように,買い物ひとつをとっても,よくよく考えてみると,その判断にはさまざまな理由があるわけです. 本来,良い医療とは,医師と患者さんが協力しあって,それぞれの患者さんにとって最も合うと思われる検査や治療を選びながら,健康に過ごしていくことを目指すものです.そのためには,診療行為についての医師からの十分な説明と,患者さんの理解と同意が不可欠です.これを昨今ではインフォームド・コンセントと呼び,これが充実していると謳う病院も多くなってきました.しかし,その実態はさまざまです. インフォームド・コンセントを大切にして,患者さん中心の医療を提供します,と謳っているにもかかわらず,実際は医師の一方的な説明ばかりで,しかも専門用語の羅列で素人には少しも理解できない,ということがよくあります.患者さんの方から希望を伝えても,エビデンスと呼ばれる科学的な根拠を片手に医師の考えを押しつけられるだけということも少なくありません.しかも,そうした場合に提供される医療が,必ずしも当を得たものとは限らず,それもまた不都合なことです.これは「患者さんを中心とした医療」を目指す本来のEBMとは異なるもので,「EBMの誤用」と言えるでしょう. ですから,患者さんも自分の受ける治療を医者任せにするのではなく,自分の状態や気持ち,希望などをよく話し,医師に自分の意志をきちんと伝えるべきです.そして,これから自分が受けようとしている検査や治療に関して十分な説明を受け,よく分からない点は質問をして理解を深めて,また自分の希望もはっきり伝えていく姿勢を持った患者さんこそ,良い患者さんといえるでしょう. そして,良い医師作り,良い医療作りを目指して,私たちは正しいEBMの普及に努めています.私たちは医療従事者を対象としたEBM普及のためのワークショップを開催しています.一般市民の方にはちょっと難しいかも知れませんが,ご参加いただければ,EBMの世界を垣間見ることが出きるでしょう. EBMの理解におすすめの本
Copyrights(c)2004- Eishu NANGO |