QLOOKアクセス解析

 


English version is here.

Contents

EBMについて
   一般向け
   医療従事者向け
各地のEBM勉強会紹介
pES club(学生EBM勉強会)
エビマヨの会(EBM抄読会)
なんごろく(診療のTips)
EBM関連イベント
資料集
管理人プロフィール
リンク集
更新履歴
アンケート
  ↑ご協力下さい!
お問い合わせ先


アンケートにご協力を!

ご感想をお寄せ下さい

このページへリンクを張る際は,
お手数ですが
管理人
までご一報ください

 ホーム > エビマヨの会 >

エビマヨの会−2009年9月11日

 第11回:運動をするとアルツハイマー病の発症が抑えられる

Scarmeas N, Luchsinger JA, Schupf N, Brickman AM, Cosentino S, Tang MX, Stern Y.
Physical activity, diet, and risk of Alzheimer disease.
JAMA. 2009 Aug 12;302(6):627-37.
PubMed PMID: 19671904.

チェックシートは はじめてコホートシート3.2

背景: 地中海式食事療法の遵守と身体活動増進がそれぞれ独立にアルツハイマー病のリスクを下げることは知られているが,その組み合わせの効果はよく分かっていない
カテゴリー: 病因
研究デザイン:
 コホート研究,Washington Heights-Inwood Columbia Aging Project (WHICAP) in 1992 and 1999
資金源: National Institute on Aging grants AG028506 and P01-AG07232
利益相反: なし
1.論文のPECOは何か?:
P: 北Manhattanの隣接する3地域におけるMedicare受給者の全人口
E: 地中海式食事療法を遵守し,身体活動度が高い
C: そうでない
O:
 アルツハイマー病発症までの時間
アルツハイマー病の診断基準には,National Institute of Neurological Disorders and StrokeとAlzheimer's Disease and Related DIsorders Associationのcriteriaで,probableまたはpossible ADとなるものとした.
Clinical Dementia Rating(CDR) scoreでも評価をしている.
2.outcomeの観察者が危険因子についてmaskingされているか?: outcomeの評価の際にmaskingされているかどうか記載はない.
3.追跡期間はどれくらいか?: 平均(標準偏差)5.4(3.3)年,ただし,評価は1.5年毎に行うので,追跡期間中に3,4回程度しか評価されていないことになる.
4.交絡因子の調整のため,多変量解析は行われているか?: 行われている.Cox比例ハザード回帰モデルが使われている.
 多変量モデルにおいて,以下の変数を調整した.
 年齢,教育(年数),エネルギー摂取量(kcal),BMI,コホート(1992年に対して),性別,apolipoorotein E genotype,baseline評価時の喫煙状態,うつ病,余暇の活動度,民族
5.結果の評価:
身体活動度と地中海式食事療法のスコアによるアルツハイマー病のハザード比は,高活動度+高食事療法遵守群で低活動度+低食事療法遵守群の0.65(0.44-0.96)倍で有意差があった(p=0.03).
低活動度+高食事療法遵守群と高活動度+低食事療法遵守群は,それぞれ0.77(0.53-1.13)倍と0.81(0..57-1.16)倍で有意差がなかった(p=0.18,0.26).

ディスカッション:

  • 最初に地域の全住民4165人が集められたが,運動のデータがない人が637人,食事のデータがない人が551人いて,1/3程度除外されている.
    これは最終的に最悪シナリオ解析されているが,結果はほとんど変わらない.
  • 脱落した人が270人いたが,この人達は残った人と比べて食事遵守と身体活動度は変わらなかった一方で,認知機能は低かった.
    この人達が加わると,食事遵守と身体活動度は変わらないので,全体的に認知機能が低くなる.
    つまり,本研究の結果は,真の認知度よりも過小評価されている.

  • Table 4で下のHRはCDR scoreが0.5を除外したものと,それに加えて2年未満しかフォローできていない人を除外している.
    両方除外すると,高活動度+低食事療法遵守群でも有意差が出てくる.
  • Table 4で右下のHRは2年未満しかフォローできていない人を除外しているが,なぜ2年か?
    十分な長さがないと群間に差がでないし,長すぎると除外される人数が増えるので逆に群間に差がでなくなるからだと思われる.
    2年ということであれば,1回だけ評価をした人を除外するということで,少なくとも2回評価をした人で解析したということである.
  • Figure 2で生存曲線に段があるのは,1.5年ごとに評価をしているので,その度にアルツハイマー病患者が増えるためである.

  • 本研究ではコホート研究なので,既知の交絡因子のみ調整可能である.
    今回調整されておらず,他に考えられるアルツハイマー病発症の危険因子は,都市部に在住,糖尿病などがあり,これを調整すべきだと思われる.
    他にも,独居,家族関係が悪い,本や新聞を読まない,人との付き合いがない,などはアルツハイマー病になりやすく危険因子になりやすいのではないか.
結局のところ,このどうなのか:
  • 身体活動度が高い方がアルツハイマー病になりにくいというのは,理解できる.
  • 食事の内容によってアルツハイマー病になりやすいかなりにくいかが変わるというのは,本当だろうか?
    糖尿病など,調整されていない交絡因子の影響があるように思われる.
  • ただ,用量依存関係になっているので,信じられるかも知れない.
  • 信じても良いが,地中海式食事療法や運動療法を強く勧めるかどうかは,悩ましい.

コメント:

※エビマヨの会のディスカッションの内容について,ご意見のある方は,是非こちらまでお寄せ下さい.ご了解が得られれば,ご意見をコメント欄に掲載させていただきます(匿名可).
また,管理者は著作権は保持します.引用は自由ですが出典を明記してください.また,可能でしたら,ご利用前に一度ご連絡をお願いいたします.




Copyrights(c)2004- Eishu NANGO
All rights reserved
禁無断転載