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エビマヨの会−2009年12月2日

 第14回:行動介入と自宅血圧モニタリングの併用は血圧コントロールに有効かも知れない

Bosworth HB, Olsen MK, Grubber JM, Neary AM, Orr MM, Powers BJ, Adams MB, Svetkey LP, Reed SD, Li Y, Dolor RJ, Oddone EZ.
Two self-management interventions to improve hypertension control: a randomized trial.
Ann Intern Med. 2009 Nov 17;151(10):687-95.
PubMed PMID: 19920269.

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背景: 米国では高血圧患者のうち血圧コントロールが十分達成されているものは,40%未満しかない.
カテゴリー: 治療
研究デザイン:
 ランダム化比較試験
資金源: National Heart, Lung, and Blood Institute; Pfizer Foundation Health Communication Initiative; and the American Heart Association.
利益相反: 特になし
1.論文のPECO:
P: 高血圧患者
   inclusion: データ抽出の12ヶ月以上前に高血圧と診断された
   exclusion: 認知症,パーキンソン病,心房細動,末期腎不全(ESRD),研究期間全体に診療を継続しないと考えられる患者,施設入所患者や介護士の介入を受けている患者,脳卒中や心臓発作で入院中,閉塞動脈に対する手術,3ヶ月以内に転移癌の診断,視力低下,電話での聴覚障害,電話で英語の理解が困難,他の血圧研究の参加者,現在の研究に配偶者が参加,腕囲が17インチ以上,手首囲が8.5インチ以上,妊娠中または2年以内に妊娠を計画,Dukeクリニックからほとんどの医療ケアを受けていない
E/C: 通常ケア,行動介入,家庭血圧モニタリング,家庭血圧モニタリング+行動介入
   通常ケア: 家庭血圧モニタリングと看護師による行動介入を受けない
   行動介入: 
   家庭血圧モニタリング
   家庭血圧モニタリング+行動介入
O: primary: それぞれの研究時期で血圧コントロールが十分だった患者の割合
          糖尿病のない患者では,収縮期140mmHg未満,拡張期血圧90mmHg
          糖尿病患者では,収縮期130mmHg未満,拡張期血圧80mmHg
   secondary: 24ヶ月後の収縮期血圧と拡張期血圧
           血圧測定は,坐位をとって5分以上安静の状態で1回目を,30分経ってから2回目を測定し,2回の平均を測定値とした.
2.ランダム割付けされているか?: されている,中央割付け方式(centralized)でconcealmentもされている(abstractのところに書いてある”A centralzed, blinded, and statified randomization algorithm”のblindはconcealmentの意味と思われる)
また,リサーチアシスタントはブロックサイズを知らされておらず,患者のランダム割り付けシークエンスは診療所とは別の事務所で研究統計家によって管理された
研究組み入れサイト(2箇所のプライマリケア診療所)とヘルスリテラシー状態(low literacy 0〜60,adequate literacy 61〜66)で層化した
16のランダム割り付けブロックを使用.
3.Baselineは同等か?: 大体同じ(本文より),但し,African Americanは介入群に少なく,また糖尿病は介入群に少ない.これらは,介入群に有利な方向に働く
4-1.ITT解析か?: ITT解析されている
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?: ある.追跡率は76.4%(486/636)であり,しかも介入群の方が脱落率が高い
5.マスキング(盲検化)されているか?: PROBE(血圧測定は,割り付け内容を知らないリサーチアシスタントが行っていた)
6.症例数は十分か?: 
 有意差があり,十分足りている
 計算された症例数: 570人(予想された脱落15%を減らすと485人)
 推定ベースライン血圧コントロール: 40%
 治療効果の大きさ: 血圧コントロールに10%の絶対差で改善する
 α level: 5%
 検出力: 80%
 予想される脱落: 24ヶ月で15%
7.結果の評価:
追跡期間は24ヶ月.
メインとなる結果はFigure 2とTable 2にある.
行動介入と自宅血圧モニタリングでは有意な改善はなかった.
両者の組み合わせ介入では,12ヶ月で5.6%,24ヶ月で11.0%,降圧目標を達成する人が有意に増えた.



ディスカッション:

  • 本研究では,combined intervention groupでprimary outcomeに有意差がみられた.
  • 最も問題なのは,25%にものぼる脱落率の高さである.
    これによって,10%の効果は埋もれてしまう.
  • 研究中に使用された降圧剤についての情報が一切なく,ベースラインでどのような降圧剤を服用していたか,何剤服用していたか,途中追加された降圧剤の数や種類などが不明である.
    降圧剤を1つ増やせば血圧は簡単に下がってしまうので,降圧剤の使用状況によって結果は大きく歪められる可能性があり,この研究の致命的な欠点になる.
  • 研究計画のサンプルサイズ570人から15%脱落すると,485人になり,これが本来計算されたサンプルサイズになる.
    実際に脱落して残った人数は,486人であるので,ギリギリの人数超えている.
    こんなにちょうど良い人数では,恣意的に脱落させたと疑われても仕方がない.
  • Table 1によると,本研究の参加者は,もともと降圧目標を達成している人が73%にものぼる優秀な患者の集団である.
    一方,Figure 2を見ると,baseline(0 Month)の降圧目標達成割合が78%くらいを示しているので,組み入れられた患者のうち,コントロールの悪い人達は最初から脱落させていると考えられる.
  • Figure 2を見ると,usual care以外の介入群では,全て降圧目標達成割合の95%信頼区間が広い.
    これは,つまり,治療効果には個人差が大きいことを示唆している.
  • 素朴に疑問に思うのは,primary outcomeの結果について,どうして各群の降圧目標達成割合を示さずに,usual careとの差で書いているのか,ということである.
    おそらく,ベースラインの値と近いために,効果が分かりにくいからだろう.
    ただ,不自然ではある.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • 行動介入や,自己血圧モニタリングは行っても良いが,それほど効果は期待するべきではない.
  • 効果には,個人差が大きいので,まずはやってみて,続けられそうな人に続けてもらうのが良いだろう.

コメント:

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