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エビマヨの会−2010年8月11日

 第21回:カルシウムサプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクになる

Bolland MJ, Avenell A, Baron JA, Grey A, MacLennan GS, Gamble GD, Reid IR.
Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis.
BMJ. 2010 Jul 29;341:c3691
PubMed PMID: 20671013; PubMed Central PMCID: PMC2912459

チェックシートは はじめてレビューシート3.5

背景: 骨粗鬆症は高齢者の疾患や死亡原因の主たる原因であり,カルシウムサプリメントは骨折リスクをわずかに減らすが,腎不全患者では血管の石灰化を促進し,死亡率を増やすとされ,また健康な高齢女性でも心血管イベントが増えることが指摘されている.
カテゴリー: 害
研究デザイン:
 システマティック・レビュー,メタ・アナリシス
資金源: the Health Research Council of New Zealand and the University of Auckland School of Medicine Foundation.
利益相反: All authors have completed the unified competing interest form at www.icmje.org/coi_disclosure.pdf (available on request from the corresponding author) and declare that: (1) no author has support from companies for the submitted work; (2) IR has received research support from and acted as a consultant for Fonterra that might have an interest in the submitted work in the previous 3 years; JB, IR, AA and GM had study drugs for clinical trials of calcium supplementation supplied by Wyeth; Mission Pharmacal; Shire Pharmaceuticals and Nycomed; and Shire Pharmaceuticals and Nycomed, respectively, might have an interest in the submitted work in the previous 3 years; (3) their spouses, partners, or children have no financial relationships that may be relevant to the submitted work; and (4) no author has non-financial interests that may be relevant to the submitted work.
1.論文のPECOは何か?:
P: 平均年齢40歳以上の一般人
E(I): カルシウムサプリメント(≧500mg/day)を1年以上摂取する
C: カルシウムサプリメントを摂取しない
O: primary:最初の心筋梗塞までの時間,最初の脳卒中までの時間,最初の複合エンドポイント(心筋梗塞,脳卒中,突然死)までの時間
   secondary:総死亡までの時間
100人以上の患者を対象に行われた研究を対象とした.
2.全ての研究を網羅的に集めようと努力したか?: 
 @検索に用いた文献データベースは?: MEDLINE,EMBASE,Cochrane Central Register of Controlled Trials,臨床試験登録システム(ClinicalTrials.gov,Australian New Zealand Clinical Trials Registry).
 Aどのような検索語で,どの期間の研究を調べたか?: 
   検索語: ”calcium”,”randomised controlled trial”,”placebo”
   期間: 当初は2007年11月の時点で,Medline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索
        Medline: 1966年1月〜2010年3月
        Embase: 1980年1月〜2010年3月
        Central Register of Controlled 2010年の第1四半期
 B個々の論文の参考文献まで追跡して調べたか?:調べた.ただし,骨密度,骨折,結腸直腸新生物,血圧に対するカルシウムサプリメントの効果を検討した1990〜2007年のメタアナリシスについての参考文献のみ調べた.
 C個々の研究者や専門家に連絡を取ったか?: 取った.各研究の筆頭著者に心血管イベントのpatient level dataを要求した.それらのデータがない場合は,trial levelのまとめのデータを要求した.
 D出版されていない研究も探したか?: 不明.
 E同じ研究が複数報告されていないか?: 不明.
 F英語以外で書かれた研究も探したか?: 言語の制限なし.
3.全ての研究が網羅的に集められたか?: Funnel plotとEgger's regression modelで評価し,全ての解析で出版バイアスはなかった(p>0.40).
4.集められた研究は,複数の評価者によって評価されたか?: 1名が最初の検索を行い,2名が関係のありそうな全ての研究を独立で評価した.
5.集められた研究は,明確な基準を持って妥当性を評価されたか?: 妥当性の評価はされていない.
6.集められた研究は同質か(異質性heterogeneityが低いか)?: 同質(異質性の検定では,すべて有意差なし).
7.集められた研究の結果は統合されたか(Meta-analysis)?: random effects modelで統合された.
8.結果の評価:

patient level dataは5件の,部分的に完全なtrial level dataは6件の研究で得られた.
Patient level dataを統合したカプランマイヤー曲線は,Figure 2.
心筋梗塞のみHR 1.31(1.02〜1.67)で有意差があり,脳卒中,心筋梗塞+脳卒中+突然死,総死亡では有意差が見られなかった.
ただ,有意差がなかった3つのoutcomeでも,やや増加する傾向は見られた.
NNTは,心筋梗塞が69,脳卒中100,心筋梗塞+脳卒中+突然死77だった.
trial level dataでは,以下のフォレストプロットの通り.
やはり,心筋梗塞のみRR 1.27(1.01〜1.59)で有意差があり,脳卒中,心筋梗塞+脳卒中+突然死,総死亡では有意差が見られなかった.

ディスカッション:

  • limitationの項にも書いてあるように,このメタアナリシスでは,カルシウムサプリメントとビタミンDの併用とプラセボとの比較した研究は検討されなかったので,カルシウムサプリメントとビタミンDを併用している患者には適用できない.
  • No at riskの数値が減っていくのは,@研究期間が途中で終わってしまった,A途中で脱落した,Bイベントが発症した,の3つが考えられる.
    Figure 2で,4つのoutcomeのNo at riskの数値が違うのは,このBイベントが発症したによる違いである.
  • Figure 2のカプランマイヤー曲線は,複数のRCTに参加した患者の個別データを統合したものであるので,通常のRCTのものとは違い,時間経過で患者の背景因子が変わってしまう(最初の頃は研究期間の短い研究も含まれるが,後半ではそれらは含まれていない).
    こういうものをカプランマイヤー曲線で表現するのは解釈が難しくなってしまうので,御法度ではないか.
  • Figure 2とFigure 3では違いがなく,patient level dataを統合した結果でも,バイアスは含まれていないと考えられる.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • カルシウムサプリメントは心筋梗塞を増やす可能性がある.
    ただし,日本人ではそれほど心筋梗塞の発症率は高くなく,心筋梗塞を恐れる必要はそれほど高くないだろう.
  • 心筋梗塞や狭心症の予防にカルシウム拮抗薬を使っている位なので,カルシウムサプリメントを服用するのは,あまり勧められない.
  • 骨折予防の効果が弱いので,カルシウムサプリメントを飲むよりも,転倒予防に意識を向けた方がいい.

コメント:

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