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エビマヨの会−2010年12月22日

 第22回:胸部圧迫のみの心肺蘇生が標準的な心肺蘇生よりも優れているとは必ずしも言えない

Hupfl M, Selig HF, Nagele P.
Chest-compression-only versus standard cardiopulmonary resuscitation: a meta-analysis.
Lancet. 2010 Nov 6;376(9752):1552-7. Epub 2010 Oct 14.
PubMed PMID: 20951422; PubMed Central PMCID: PMC2987687.

チェックシートは はじめてレビューシート3.5

背景: 院外心肺停止では,出動指令者の補助による胸部圧迫のみのバイスタンダーCPRは,標準的なバイスタンダーCPR(胸部圧迫とレスキュー人工呼吸)よりも優れている可能性があるが,臨床試験の結果では,アウトカムを有意に改善することは証明されていない.
カテゴリー: 治療
研究デザイン:
 システマティック・レビュー,メタ・アナリシス
資金源: US National Institutes of Health and American Heart Association.
利益相反: PN's institution has received research support from Roche Diagnostics, unrelated to this study; PN has received consultancy fees from Gerson Lehrman Group; and PN and his institution have received grants from the US National Institutes of Health and American Heart Association. MH is receiving a salary and has received payment for development of educational presentations from St John’s Ambulance Service, Vienna, Austria; and has received research support, lecture fees, and travel support from Novo Nordisk. HFS declares that he has no conflicts of interest.
1.論文のPECOは何か?:
P: 院外で心肺停止した患者
E(I): 胸骨圧迫のみのCPR
C: 標準的なCPR
O: 生存率
2.全ての研究を網羅的に集めようと努力したか?: 
 @検索に用いた文献データベースは?: MEDLINE,EMBASE.
 Aどのような検索語で,どの期間の研究を調べたか?: 
   検索語: ”chest compression-only”,”compression alone”,”hands-only”,”bystander CPR”
   期間: 198年1月〜2010年8月
 B個々の論文の参考文献まで追跡して調べたか?:調べた.
 C個々の研究者や専門家に連絡を取ったか?: 取っていない.
 D出版されていない研究も探したか?: 不明.
 E同じ研究が複数報告されていないか?: 不明.
 F英語以外で書かれた研究も探したか?: 英語とドイツ語のみ.ただし,他の言語の研究は見つからなかった.
3.全ての研究が網羅的に集められたか?: 出版バイアスをEgger's regression modelで評価したが,その結果については示されていない.
4.集められた研究は,複数の評価者によって評価されたか?: 不明.
5.集められた研究は,明確な基準を持って妥当性を評価されたか?: intention-to-treat analysis,脱落率については評価されている.
6.集められた研究は同質か(異質性heterogeneityが低いか)?: Q検定とI2統計量で評価されており,I2統計量は0%だったため,同質と考えられた.
7.集められた研究の結果は統合されたか(Meta-analysis)?: fixed-effects modelで統合された.
8.結果の評価:

メタアナリシスは2種類行われた.1つは3件のRCTの結果を統合したもので,もう1つは7件の前向きと後ろ向きのコホート研究の結果を統合したものである.
Primary analysis:
退院時生存をアウトカムとして胸部圧迫のみのCPRと標準的なCPRを比較した3件のRCTの結果を統合したForrest plotはFigure 2.
個々の研究ではいずれも有意差はみられなかったが,統合したところ,RR 1.22(95%信頼区間 1.01〜1.46)と胸部圧迫のみのCPRの方が有意に生存率が高かった.
退院時生存率が胸部圧迫のみのCPRが14.1%,標準的なCPRが11.6%なので,
 RB(Relative benefit)=14.1/12.6=1.119
 RBI(Relative benefit increase)=RB-1=11.9%
 ABI(Absolute benefit increase)=2.4%(95%信頼区間0.1〜4.9)
 NNT(Number needed to treat)=41(95%信頼区間20〜1250)
Secondary analysis:
退院時生存をアウトカムとして胸部圧迫のみのCPRと標準的なCPRを比較した7件の前向きと後ろ向きのコホート研究の結果を統合したForrest plotはFigure 3.
統合した結果では,生存率は両群とも8%で変わらなかった.
自発心拍の再開については,4件の観察研究の結果を統合したForrest plotがFigure 4にある.
こちらも,統合した結果では,自発心拍再開は両群とも32%で変わらなかった.

ディスカッション:

  • 標準的なCPRの方法として,胸部圧迫と人工呼吸の比は,時代と共に5:1から15:2,30:2に変わってきている.それらの結果を統合することに問題はないのだろうか.
  • RCTとコホート研究の統合した結果が違う理由としては,RCTの方ではランダム割り付けし,心肺蘇生の方法を指導するのに難渋していた可能性がある.
    介入研究の方が,実際に介入を行うまでの時間が長くなりがちであり,それがバイアスになりうる.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • 現時点では,必ずしもCPRを行う際には胸部圧迫のみで良いとは言いきれない.
  • 全く心肺蘇生の方法を知らないバイスタンダーに対して,方法を教えながら心肺蘇生を行ってもらうなら,胸部圧迫のみで良いかも知れない.
    本研究はあくまでも,心肺蘇生の方法を知らないバイスタンダーが指導を受けながら行う場合に適用できる結果である.
    それに対して,心肺蘇生の講習会を受けたバイスタンダーでは,人工呼吸が正しくできることが期待できるので,標準的なCPRを行うべきである.
  • 医療従事者は,人工呼吸法を含めた標準的なCPRの方法を習得し,確実に行うべきである.

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