English version is here.

Contents

EBMについて
   一般向け
   医療従事者向け
各地のEBM勉強会紹介
pES club(学生EBM勉強会)
エビマヨの会(EBM抄読会)
なんごろく(診療のTips)
EBM関連イベント
資料集
管理人プロフィール
リンク集
更新履歴
アンケート
  ↑ご協力下さい!
お問い合わせ先


アンケートにご協力を!

ご感想をお寄せ下さい

このページへリンクを張る際は,
お手数ですが
管理人
までご一報ください

 ホーム > なんごろく >

なんごろく−5つのやるなシリーズ(Five Things Physicians and Patients Should Question)

項目新設 2013/2/5


このページでは,米国内科専門医認定機構(ABIM)の呼びかけで2012年4月4日に公開された「Choosing Wisely」の「Five Things Physicians and Patients Should Question(5つのやるな)」を紹介します.このリストは,当初9学会の公表に始まり,次第に他の学会も続々と参加を表明しています.
それぞれの声明には,各項目には声明文しか挙げてありませんが,「Choosing Wisely」のサイトではその根拠となるエビデンスも示されているので,ぜひご参照下さい.

「5つのやるな」を声明している学会リスト
* 2013年2月21日に新規に発表

 American Academy of Allergy, Asthma & Immunology(AAAAI) 米国アレルギー喘息免疫学会

1.アレルギー評価のために,有用性が証明されていないIgG検査や絨毯爆撃的に行うIgE検査などの診断的検査を行うな.
2.単純性急性鼻副鼻腔炎に対して,副鼻腔CTや絨毯爆撃的な抗菌薬をオーダーするな.
3.慢性蕁麻疹の患者に,ルーチンで診断的検査を行うな.
4.ワクチンへの抗体反応が障害されていることが証明されていない場合を除いて,再発した感染症に対して免疫グロブリン置換療法を勧めるな.
5.スパイロメトリーを用いずに,喘息の診断や管理を行うな.

 American Academy of Family Physicians(AAFP) 米国家庭医療学会

1.Red flagがある場合を除いて,最初の6週間は腰痛の画像診断は行うな.
2.7日以上症状が持続しない場合や初期の臨床定期な改善のあとで症状が悪化した場合を除いて,軽症〜中等症の急性副鼻腔炎にルーチンで抗菌薬を処方するな.
3.リスクのない65歳以下の女性や70歳以下の男性に対して,骨粗鬆症に対してDEXAでのスクリーニングを行うな.
4.無症状の低リスク患者に対して,年1回の心電図や他の心臓スクリーニングを行うな.
5.21歳以下の女性や癌でない疾患で子宮摘出を行った女性に対して,PAPスメアを行うな.

 American College of Cardiology (ACC) 米国心臓学会

1.ハイリスク患者でない限り,心疾患の症状のない患者の初期評価に負荷心臓画像検査や高度な非侵襲的画像検査を行うな.
2.無症状の患者での定期的なフォローアップにおいて,負荷心臓画像検査や高度な非侵襲的画像検査を毎年行うな.
3.低リスクの非心臓手術を予定している患者で,術前評価として負荷心臓画像検査や高度な非侵襲的画像検査を行うな.
4.軽度の無症候性の弁膜疾患をもつが,症状や徴候が変わらない成人患者で,定期的なフォローアップとして心臓超音波検査を行うな.
5.合併症のない血行動態的に安定しているST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う際に,責任病変でない部位にステントを挿入するな.

 American College of Physicians(ACP) 米国内科学会

1.無症状の冠動脈疾患が低リスクの患者に,スクリーニングの運動負荷心電図検査を行うな.
2.非特異的な腰痛患者では,画像検査を行うな.
3.神経学的身体所見が正常な,随伴症状のない失神の評価において,画像検査(CT,MRI)は行うな.
4.静脈血栓塞栓症(VTE)の事前可能性が低い患者では,最初の診断的検査として高感度D-dimerを行え.画像検査を最初の診断的検査として行うな.
5.臨床的に胸郭内疾患が疑われない場合は,術前の胸部単純X線写真は行うな.

 American College of Radiology(ACR) 米国放射線医学会

1.随伴症状のない頭痛で,画像検査を行うな.
2.肺塞栓症の検査前可能性が中程度〜高くない肺塞栓症疑いに,画像検査を行うな.
3.病歴と身体診察で異常がない救急患者の入院時や術前の胸部X線は避けろ.
4.虫垂炎が疑われる小児の評価には,超音波検査を選択肢として考えるまでCTを行うな.
5.臨床的に問題にならない付属器嚢胞は画像検査でのフォローを推奨するな.

 American Gastroenterological Association(AGA) 米国消化器病学会

1.逆流性食道炎(GRED)の患者への長期間の制酸療法(プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬)による薬物療法は,治療のゴールを達成するのに有効な最低用量で行うべきである.
2.リスクが平均で質の高い大腸内視鏡検査で陰性だった人は,10年間大腸癌のスクリーニング(いかなる方法でも)を再検するな.
3.1〜2個の小さい(<1cm)腺腫様ポリープで高度異型がなく,質の高い大腸内視鏡で完全に切除された患者は,少なくとも5年間は大腸内視鏡検査を繰り返すな.
4.Barret食道と診断された患者で,2回目の内視鏡を行い生検で異型性がないことが確認された場合は,ガイドラインに明記されている3年以内のフォローアップサーベイランスとしての検査を行うな.
5.機能性腹痛症候群(ROMEV基準による)の患者は,臨床的な所見や徴候に大きな変化がなければ,CTスキャンを繰り返すべきではない.

 American Society of Clinical Oncology(ASCO) 米国臨床腫瘍学会

1.以下の特徴を持つ固形癌患者での癌そのもの治療は行うな: PSの低い(3,4)患者,すでに行われたエビデンスに基づいた介入が利益をもたらさなかった患者,臨床試験で対象とはならなかった患者,さらなる抗癌治療が臨床的に意味をなすとの強いエビデンスがない患者.
2.転移のリスクが低い初期前立腺癌に対して,PET,CT,骨シンチグラフィを行うな.
3.転移のリスクが低い初期乳癌に対して,PET,CT,骨シンチグラフィを行うな.
4.根治術後で症状のない乳癌患者には,フォローの検査(生物マーカー)や画像検査(PET,CT,骨シンチグラフィ)を行うな.
5.発熱を伴う好中球減少の1次予防のためには,そのリスクが20%未満の患者に白血球刺激因子を使うな.

 American Society of Nephrology(ASN) 米国腎臓学会

1.徴候や症状のない余命の限られた透析患者で,ルーチンの癌のスクリーニングを行うな.
2.貧血の症状がなく,ヘモグロビンが10g/dL以上あるCKD患者に赤血球増殖刺激因子(ESAs)を投与するな.
3.高血圧症,心不全と,糖尿病を含むあらゆる原因によるCKD患者に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)を投与するな.
4.腎臓専門医に相談することなく,V〜W期CKD患者に末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)を挿入するな.
5.患者,その家族,医師の間に共有する意思決定プロセスを確保せずに,維持透析を導入するな.

 American Society of Nuclear Cardiology(ASNC) 米国心臓核医学会

1.高リスクマーカーが存在しない限り,心臓の症状のない患者に負荷心臓画像検査や冠動脈造影検査を行うな.
2.リスクの低い患者に心臓画像検査を行うな.
3.無症状の患者に,ルーチンフォローアップの一環で核医学検査を行うな.
4.リスクが低〜中等度の非心臓手術を予定している患者に,術前評価として心臓画像検査を行うな.
5.可能な限り,利益が限定的な場合は心臓画像検査による放射線への暴露を減らすための方法を用いること.

※なんごろくの記載内容に間違いをご指摘頂ける方やご意見をお寄せいただける方は,是非,こちらまで御連絡下さい.




Copyrights(c)2004- Eishu NANGO
All rights reserved
禁無断転載