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なんごろく−糖尿病

米国糖尿病学会ADAの糖尿病診療指針(2013年版) (最終更新2013/1/11)

米国糖尿病学会は,毎年年初に糖尿病診療指針を出しています.
2013バージョンの”Executive Summary: Standards of Medical Care in Diabetes-2013”から,主なものを抜粋し和訳しました(全文訳でなくて,申し訳ありません.主に2型糖尿病の部分について取り上げています).ところどころ,私のコメントを付けてあります.
なお,フルバージョン,変更点は以下にあります.
 フルバージョン:Standards of Medical Care in Diabetes-2013
 変更点:Revisions to the Standards of Medical Care in Diabetes-2013

A1C
  • 安定している糖尿病患者では,A1Cは年2回測定でOK(E).(注:ふーん,もっと測っていた)
  • 治療を変更したり,血糖目標に達していない患者では,A1Cを頻回に測定する(E).
血糖コントロール目標
  • 妊娠していない成人糖尿病患者での血糖コントロール目標は原則A1C<7.0%.これにより,細小血管障害,診断直後から治療すれば長期に渡る大血管障害の予防ができる(B).
  • 糖尿病歴が短く,余命が十分長く,心血管疾患のない患者では,低血糖や他の合併症がない限り,A1C<6.5%を目標としても良い(C).
  • 重症低血糖の既往,余命が短い,重度の細小血管障害や大血管障害がある,重度の併存疾患がある,糖尿病の自己管理教育や適切な血糖モニタリング,インスリンを含めた多剤併用療法を行なっているような長期罹患糖尿病患者では,もっと緩い目標A1C(例えば<8%)とするのが適切である(B).(注:このような患者では下限(例えば>7%)も決めるべきだと思います)
2型糖尿病での薬剤選択
  • 禁忌がなく認容性があるなら,第一選択薬はメトホルミン(A).
  • 新規発症の2型糖尿病で明らかな症状や高血糖,A1C高値がある場合は,インスリンを含めた治療から開始する(E).
  • インスリンでない単剤治療で認容される最大量を3〜6ヶ月使用してもA1Cが目標に到達・維持しない場合は,第2選択の経口血糖降下薬,GLP-1受容体作動薬またはインスリンを追加するを追加する(A).(注:どれでもいいと言われても,どれにすればいいか分からないので,困ってしまう)
運動療法
  • 成人糖尿病患者は,中等度の強度の有酸素運動(最大心拍数の50〜70%)を150分/週を,2日連続で運動しない日がないように週3日行うように勧めるべきである.(A)
  • 禁忌がない限り,2型糖尿病患者では週2回以上筋トレを行うように勧めるべきである(A)
血圧管理
目標
  • 糖尿病合併高血圧は収縮期血圧<140mmHgを目標に治療するべき(B).(注:ここが一番の変更点.これまでは糖尿病患者では<130mmHgだった)
  • 若年者で治療の負担にならなければ,<130mmHgといったより低い収縮期血圧を目標としてもよい(C).
  • 糖尿病患者では,拡張期血圧<80mmHgを目標として治療するべき(B).(注:拡張期血圧の目標値はこれまでと変化なし)
治療
  • >120/80mmHgの患者では血圧を下げるために生活習慣を変えることを忠告するべき(B).
  • 確実に血圧≧140/80mmHgであれば,生活習慣治療に加え薬物療法を行う(B).
  • 高血圧に対する生活習慣治療とは,過体重の場合は減量,減塩,カリウム摂取,中等度の飲酒,身体活動度の増加といったDASHスタイルの食生活のことである(B).
  • 糖尿病合併高血圧患者では,ACE阻害薬かARBで治療を開始する.一方の認容性が悪い場合は他方に変更する(C).
  • 降圧目標達成のために多剤併用(最大用量を2剤以上)が必要になるのは一般的(B).
  • 降圧剤は少なくとも1剤は眠前に投与する(A).(注:へぇ!そうなんだ)
  • ACE阻害薬,ARB,利尿剤を使用している場合は,血清クレアチニン,eGRF,血清カリウムレベルをモニタリングするべき(E).
脂質異常症,脂質管理
治療の推奨と目標
  • 糖尿病患者では,脂質プロファイルを改善するために,飽和脂肪,トランス脂肪,コレステロール摂取を減らし,n-3脂肪酸,粘性繊維(viscous fiber),plant stanols/sterolsを増やし,減量し(必要な場合),身体活動を増やす生活習慣改善を勧めるべき(A).
  • 明らかな心血管疾患を合併する患者(A)と40歳以上の心血管リスク(心血管疾患の家族歴,高血圧症,喫煙,脂質異常症,アルブミン尿)を1つ以上持っている心血管疾患のない患者(A)では,ベースラインの脂質レベルに関係なく生活習慣治療に加えスタチンを投与するべき
  • 低リスク患者(40歳未満で心血管疾患なし)はLDL>100mg/dLか心血管疾患の危険因子を多数保有している場合に生活習慣治療にスタチン療法を加えるよう検討するべき(C).
  • 明らかな心血管疾患を持たない人ではLDLコレステロール<100mg/dLを目標(B).
  • 明らかな心血管疾患を持つ人では,高用量スタチンを用いた<70mg/dLとより低いLDLコレステロール目標とすることも考える(B).
  • 認容する最大量のスタチン治療でも上記目標値に到達しない場合は,代替の治療目標として,ベースラインからの30〜40%までのLDLコレステロール減少を目標とする(B).
  • 中性脂肪<150mg/dL,HDLコレステロール>40mg/dL(男性)>50mg/dL(女性)が望ましい(C)が,LDLコレステロールを目標としたスタチン治療を行うのが望ましい(A).
  • スタチン治療を上回る併用療法は無いので,通常は勧められない(A).
禁煙
  • 全患者に禁煙するように勧告する(A).
冠動脈疾患のスクリーニングと治療
スクリーニング
  • 症状のない患者では,心血管疾患の危険因子を治療してもアウトカムが改善しないので,治療冠動脈疾患のルーチンでのスクリーニングは勧められない(A).
治療
  • 心血管疾患の合併が明らかになっている患者では,禁忌がない限り,心血管疾患の予防目的でACE阻害薬(C),アスピリンとスタチン(A)での治療を行う.
  • 心筋梗塞の既往のある患者では,イベント後2年以上はβ遮断薬を継続するべきである(B).
  • 症候性の心不全患者では,チアゾリジン系による治療を避けるべきである(C).(注:心不全がなくても,チアゾリジン系を用いる理由がない)
  • 腎機能が正常であれば,安定している心不全患者においてメトホルミンの使用を検討する.心不全の増悪とそれによる入院を防ぎうる(C).
腎症のスクリーニングと治療
全般的な推奨
  • 腎症のリスクを減らしたり進展を遅らせるためには,血糖コントロールを厳格にする(A).
  • 腎症のリスクを減らしたり進展を遅らせるためには,血圧コントロールを厳格にする(A).
スクリーニング
  • 1型糖尿病患者では糖尿病罹病期間が5年以上で,2型糖尿病患者では全患者で,尿中アルブミン濃度の定量を年1回行う(B).
  • 血清クレアチニン測定は,尿中アルブミン濃度の程度にかかわらず,全ての糖尿病成人患者で年1回以上行う.血清クレアチニンは,腎症がある場合に,糸球体濾過率GFRと慢性腎疾患(CKD)の病気を決定するのに使用する(E).
治療
  • 妊娠していない患者で,尿中アルブミン濃度が中等度(30〜299mg/day)(C)か高度(>300mg/day)(A)に増加している場合は,ACE阻害薬とARBのいずれかが推奨される.
  • 1日蛋白摂取量は,早期CKDでは0.8〜1.0g/kg/BWに,後期CKDでは0.8〜1.0g/kg/BWとすると,腎機能(尿中アルブミン排泄率,GFR)が改善されるので推奨される(C).
  • ACE阻害薬,ARB,利尿剤が使用されている場合は,血清クレアチニンとカリウム値を測定する(E).
  • 治療への反応と疾患の増悪を評価するために尿中アルブミン排泄を継続的にモニターすることは合理的である(E).
  • eGFR<60mL/min/1.73m2の場合は,CKDの合併症の評価と管理を行う(E).
  • 腎疾患の原因が不明,あるいは管理が困難,進行した状態の場合は,腎疾患の管理に経験のある医師に相談する.
網膜症のスクリーニングと治療
全般的な推奨
  • 網膜症のリスクを減らしたり進展を遅らせるためには,血糖コントロールを厳格にする(A).
  • 網膜症のリスクを減らしたり進展を遅らせるためには,血圧コントロールを厳格にする(A).
スクリーニング
  • 2型糖尿病患者は,糖尿病と診断されたら直ちに眼科医の包括的な検眼を受けるべきである(B).
  • 1型糖尿病と2型糖尿病患者は年1回,眼科医の診察を受けるべきである.検眼で正常と判定された場合は,より頻度の少ない診察(2〜3年に1度)を考慮してもよい.網膜症が進行している場合では,より頻繁な診察が必要になる(B).
  • 高画質眼底写真を用いると,臨床的に有意な網膜症を最も見つけることができる.画像の解釈は訓練された眼科医によって行われるべきである.網膜写真は網膜症のスクリーニングツールとして使われることがあるが,包括的な検眼で行われるものではない.最初に行い,その後は眼科医が必要と考えた場合に行う(E).
治療
  • あらゆる重症度の黄斑浮腫,重度の非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR),全ての増殖性糖尿病性網膜症(PDR)の患者は直ちに糖尿病性網膜症の管理と治療の知識と経験を有する眼科医に相談する(A).
  • レーザー光凝固療法は,高リスクPDR,臨床的に有意な黄斑浮腫,重度のNPDRの一部の患者の視力喪失のリスクを減らすために行われる(A).
  • 抗血管上皮成長因子(VEGF)療法は糖尿病性黄斑浮腫に行われる(A).
  • 網膜症の存在は,心保護目的のアスピリン療法の禁忌ではなく,これによって網膜出血の危険が増えることはない(A).
神経障害のスクリーニングと治療
  • 2型糖尿病と診断されたとき,ないしは1型糖尿病で診断から5年経過した時点で,遠位対称性多発神経症(DPN)のスクリーニングを行い,その後は毎年,簡易的な臨床テストを継続するべきである.(B).
  • 電気生理学的検査が必要になることは,臨床的な特徴が非定型的な場合除いて稀である(E).
  • 心血管自律神経症(CAN)の徴候や症候のスクリーニングは,2型糖尿病と診断されたとき,ないしは1型糖尿病で診断から5年経過した時点で行うべきである.特別な検査が必要になることは稀で,管理やアウトカムには影響しないと考えられる(E).
  • 痛みのあるDPNや自律神経神経症に関連した特異的症候を改善するための薬剤は推奨され,患者のQOLを改善する(E).
フットケア
  • 全ての糖尿病患者は,潰瘍や足切断を予測するリスクファクターを明らかにするために,年1回の包括的な足の診察を行う.足の診察は,視診,足背動脈の評価,防御感覚(protective sensation)の喪失(LOPS)(10gモノフィラメントと,次のいずれかを用いる:128Hzの音叉を用いた振動覚,針による痛覚,アキレス腱反射,振動覚閾値)の診察が含まれる,(B).
  • すべての糖尿病患者に,一般的な足のセルフケアの教育を行う(B).
  • 足潰瘍やそのリスクの高い足のある患者,特に潰瘍や足切断の既往のある患者では,多職種によるアプローチが推奨される(B).
  • 喫煙者,LOPSと構造的な異常のある患者,下肢の合併症の既往のある患者は,予防的なケアの継続と生涯に渡るサーベイランスのために,フットケアの専門家に相談する(C).
  • 末梢動脈疾患(PAD)の最初のスクリーニングは,間欠性跛行の病歴と足背動脈の触診で評価を行うべきである.多くのPAD患者では症状がないので,ABIを行う(C).
  • 明らかな間欠性跛行やABIの以上がある患者はさらなる血管評価と運動療法,内科的治療,手術療法を考慮する(C).
入院中の患者の血糖コントロール
血糖コントロール目標
  • 集中治療患者:持続する高血糖に対して,180mg/dLを超えないようにインスリン治療を始めるべきである.一旦インスリン治療を開始したら,大多数の集中治療患者では血糖を140〜180mg/dLの間にすることが勧められる(A).
  • 110〜140mg/dLといったより厳格な目標は,低血糖が起こらなければ,患者によっては適しているかもしれない(C).
  • 非集中治療患者:特定の血糖目標のエビデンスは明らかになっていない.インスリンで治療する場合は,食前血糖値<140mg/dL,随時血糖値180mg/dLとするのが合理的で,安全に達成することができる.より厳格な目標は以前に厳格に血糖管理して安定していた患者では適しているかもしれない.重度の併存疾患のある患者では,より緩い目標が適しているかもしれない(E).
  • 非集中治療患者では,定時打ちのインスリンが血糖目標に到達・維持するのに好ましい方法である(C).
  • 糖尿病でない患者でも,高用量糖質コルチコイド治療,経管栄養,TPN,オクトレオチドや免疫抑制剤など高血糖のハイリスクと関連する治療を受けている場合は,全例で血糖モニタリングを行うべきである(B).高血糖の持続が明らかになった場合は,糖尿病患者と同じ血糖目標として治療することを考慮する(E).

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