QLOOKアクセス解析

 


English version is here.

Contents

EBMについて
   一般向け
   医療従事者向け
各地のEBM勉強会紹介
pES club(学生EBM勉強会)
エビマヨの会(EBM抄読会)
なんごろく(診療のTips)
EBM関連イベント
資料集
管理人プロフィール
リンク集
更新履歴
アンケート
  ↑ご協力下さい!
お問い合わせ先


アンケートにご協力を!

ご感想をお寄せ下さい

このページへリンクを張る際は,
お手数ですが
管理人
までご一報ください

 ホーム > エビマヨの会 >

エビマヨの会−2009年11月25日

 第13回:非肥満2型糖尿病の二相性インスリンに追加のmetforminはrepaglinideよりも優れる

Lund SS, Tarnow L, Frandsen M, Nielsen BB, Hansen BV, Pedersen O, Parving HH, Vaag AA.
Combining insulin with metformin or an insulin secretagogue in non-obese patients with type 2 diabetes: 12 month, randomised, double blind trial.
BMJ. 2009 Nov 9;339:b4324.
PubMed PMID: 19900993.

チェックシートは はじめてトライアルシート5.4

背景: 肥満2型糖尿病患者では,インスリン抵抗性を改善するmetforminの有効性は証明されているが,非肥満患者でインスリンとmetforminとの併用がインスリンとインスリン分泌促進薬と同様の効果をもたらすかは不明である.
カテゴリー: 治療
研究デザイン:
 ランダム化比較試験
資金源: Novo Nordisk A/S,Novo Nordisk Scandinavia A/S,the Clinical Development Foundation at Steno Diabetes Center
利益相反: SSL, LT, MF, BBN, BVH, OP, H-HP, and AAV have reported equity in Novo Nordisk A/S. LT, H-HP, and AAV have received funds from Novo Nordisk A/S for research. SSL and AAV have received fees from Novo Nordisk A/S for speaking and AAV has received fees from Novo Nordisk A/S for organising education. SSL, LT, MF, BBN, BVH, OP, H-HP, and AAV are present or former employees at Steno Diabetes Center, Gentofte, Denmark. Steno Diabetes Center is an independent academic institution owned by Novo Nordisk A/S and the Novo Nordisk Foundation.
1.論文のPECO:
P: Denmark Gentofte市のSteno Diabetes Centerの2003年2月〜2004年9月のカルテから選んだ,BMI≦27,HbA1c≧6.5%の糖尿病患者で以下の基準を満たすもの(Box 1)
inclusion criteria:
 ・40歳以上で発症した,空腹時血清Cペプチド≧300pmol/Lか,随時またはグルカゴン刺激血清Cペプチド≧600pmol/L(スクリーニングまたはrun-in periodのいずれかに測定)の2型糖尿病で,持続するケトン尿やケトアシドーシスのないもの
 ・BMI≦27
 ・インスリン未治療患者:4ヶ月以上の経口血糖降下薬単剤または併用治療でもHbA1c≧6.5%
 ・インスリン治療中患者:インスリン治療中でHbA1c<9.5%
exclusion criteria:
 ・1型糖尿病または2次性糖尿病
 ・研究組み入れ前6ヶ月間に5.0kg以上の体重減少
 ・ベースラインのHbA1c<6.5%
 ・ベースラインのBMI>27
 ・研究で使用する薬剤の使用が禁忌(例えば,心不全,腎不全,肝不全の徴候)
 ・重篤な疾患の合併
 ・ランダム割り付けされた研究の薬剤を4ヶ月以上内服して,1ヶ月以上の間隔の2回の異なる診察日ともHbA1c>10.5%
E: repaglinideのプラセボ+insulin+motformin 1000mg×2回/日
C: repaglinide 2mg×3回/日+insulin+motforminのプラセボ
O: primary: HbA1c
   secondary: インスリン量,自己測定した血糖値,脂肪量,副作用
※治療開始前に4ヶ月のrun-in periodを設け,全ての患者がそれまで受けていた血糖降下治療を中止し,metformin 1000mg×2回/日とrepaglinide 2mg×3回/日を服用.
※インスリンは70/30(30%速効型インスリン,70%中間型インスリン)を夕食前に6単位から開始し,3日ごとに予め決められたアルゴリズムで4-6mmol/Lになるように調整した.それでも血糖目標値に達しない場合は,3,6,9ヶ月の時点で,1日2〜3回のインスリン集中投与を受けた.研究で用いた薬によると考えられる副作用があった場合は減量し,回復したら再開した.副作用が再発したら,低用量で継続した.
※研究開始時点でアスピリンとスタチンを服用していない患者は,ガイドラインに従い,aspirin 75mgとスタチン(初期はsimvastatin 40mg)を導入した.
※その他の研究終了後まで服用しないようにし,生活習慣も変えないように指示した.
2.ランダム割付けされているか?: されている,中央割付け方式(centrally)でconcealmentもされている
3〜4のブロック割り付け(ブロックサイズは研究中伏せられていた)と,HbA1cとBMIによる層別割り付けが行われている
3.Baselineは同等か?: 一見同等.ただし,HbA1cは同等であるものの,インスリンを使用している患者のうち,metformin+insulin群の方がインスリンに経口血糖降下薬も併用している人が多いので,より重症な患者が多く集まっている可能性がある.CPRとインスリン抵抗性についての比較のあれば分かるが,記載されていない
4-1.ITT解析か?: ITT解析されている,治療終了時に測定されていない場合は,最後に測定されていたものを解析に使用する
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?: ない.追跡率は96.0%(97/101),最短3ヶ月のフォローだった患者が1名
ランダム割り付け足され人数は102名だが,repaglinide+insulin群に割り付けられた1人が一度も治療を受けなかったため,全ての解析から除外された.従って,本解析はFAS解析である
5.マスキング(盲検化)されているか?: double blind.誰を隠してあるかは明確には書かれていないが,outcome評価者については,本研究のoutcomeがHbA1cなので,maskingの有無によって測定値は変わらないと思われる
6.症例数は十分か?: 
 有意差はないが,集めた症例は101人で計算されたサンプルサイズの100人を超えているので,十分足りている
 計算された症例数: 100人(16人の脱落を見込む)
 治療効果の大きさ: HbA1cの絶対差0.50%,UEKDSのmetformin治療の効果が0.60%だったため,臨床的に意味ある差を±0.50と定めた
 推定標準偏差: 0.8%
 α level: 5%(両側)
 検出力: 80%
7.結果の評価:
追跡期間は12ヶ月.
メインとなる結果はTable 2にある.
primary outcomeであるHbA1cの値は,metformin+insulin群で6.72,repaglinide+insulin群で6.90と有意差なし(p=0.177).
一日総インスリン量も,32.96単位と28.25単位でmetformin+insulin群で多い傾向にあったが,有意差なし(p=0.233).
体重は,74.45kgと77.66kgでmetformin+insulin群で有意に低かった(p=0.002).

ディスカッション:

  • 本研究では,primary outcomeには有意差が見られなかった.
  • secondary outcomeで有意差が見られたのは体重だけだったが,Bonferroni補整をしても,有意差は見られるし,過去の研究でも,metforminによる体重減少は証明されているので,これは真の効果と見て良いだろう.
    ただし,今回の研究では,体重は両群とも研究前後で増えている.
    これは,インスリンの体重増加効果がmetforminの体重減少効果よりも上回ったことを意味すると考えられる.
  • 有意差はなかったものの,metformin+insulin群の方が,インスリン投与量が多かった.
  • 今回の研究に参加した患者の背景(Table 1)
    平均BMI: 24-25
    平均腹囲: 92cm
    平均HbA1c: 7.8%
    糖尿病歴: metformin+insulin群8年,repaglinide+insulin群12年
    網膜症: 50%
    腎症: 25%
    神経障害: 80%
    大血管障害: 1/3
  • 糖尿病歴に若干の差があるのが気になる.これは心血管疾患をoutcomeにしたときに問題になると考えられるが,本研究ではHbA1cなので,baselineのHbA1cが同じであれば,罹病期間が影響を与えることはないだろう.

  • 副作用についての結果はTable4にある.
  • 症状のあるエピソードを経験した症例が,metformin+insulin群で98.08%,repaglinide+insulin群で95.92%(両群合わせて101人中3人しか副作用を経験しなかった症例がない)と,極めて高率だった.
  • さすがに自分で糖の補充ができなかったり,意識を失うような重大なエピソードを起こしたのは,metformin+insulin群で7.69%,repaglinide+insulin群で16.44%しかなかった(p=0.185で有意差なし).”しか”と言っても,稀とは言えない頻度である.ただ、metforminにすると頻度をRR 0.44に減らせるので,大きな違いである.
  • ACCORD,ADVANCE,UKPDS,VADTの結果から,発症10年以上経過している糖尿病患者では,血糖コントロールは緩めにした方が良いと考えられるが,本研究では治療目標が6.5%と通常の厳格なコントロールを行っていた.
    もっと緩いコントロール目標であれば,これほどまでの副作用は起こらなかったのではないだろうか.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • metforminの方がインスリン分泌促進薬よりも,HbA1cを下げる効果は同じながら,体重を減らす効果が期待できる.
  • 日本人は肥満でない糖尿病患者が多いので,インスリンと併用する経口血糖降下薬はSUやグリニド系が望ましいと言われているが,本研究の結果からは,必ずしもそうとは言えないだろう.
  • 肥満患者でも,非肥満患者でも,経口血糖降下薬はmetforminを使用すべきである.
  • むしろ重篤な低血糖発作が多くなるので,repaglinideは使用すべきでない.
  • 糖尿病歴の長い患者の血糖コントロールは,厳格(HbA1c≦7%)にすべきではない.

コメント:

※エビマヨの会のディスカッションの内容について,ご意見のある方は,是非こちらまでお寄せ下さい.ご了解が得られれば,ご意見をコメント欄に掲載させていただきます(匿名可).
また,管理者は著作権は保持します.引用は自由ですが出典を明記してください.また,可能でしたら,ご利用前に一度ご連絡をお願いいたします.




Copyrights(c)2004- Eishu NANGO
All rights reserved
禁無断転載