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なんごろく−糖尿病

 VADT

Duckworth W, Abraira C, Moritz T, Reda D, Emanuele N, Reaven PD, Zieve FJ, Marks J, Davis SN, Hayward R, Warren SR, Goldman S, McCarren M, Vitek ME,
Henderson WG, Huang GD; VADT Investigators.
Glucose control and vascular complications in veterans with type 2 diabetes.
N Engl J Med. 2009 Jan 8;360(2):129-39. Epub 2008 Dec 17.
PubMed PMID: 19092145.

チェックシートは はじめてトライアルシート5.5

背景: 2型糖尿病に長期罹患している患者における集中的な血糖コントロールの心血管イベントへの効果については,依然よく分かっていない.
カテゴリー: 予防
研究デザイン:
 ランダム化比較試験
資金源: Supported by the Veterans Affairs Cooperative Studies Program, Department of Veterans Affairs Office of Research and Development; the American Diabetes Association; and the National Eye Institute. Pharmaceutical and other supplies and financial assistance were provided by GlaxoSmithKline, Novo Nordisk, Roche Diagnostics, Sanofi-Aventis, Amylin, and Kos Pharmaceuticals.
利益相反: Dr. Duckworth reports receiving consulting fees from Novo Nordisk, GlaxoSmithKline, and Caremark and lecture fees from Sanofi-Aventis; Dr. Abraira, receiving lecture fees from Sanofi-Aventis and Takeda; Dr. Reaven, receiving consulting and lecture fees from Takeda Pharmaceuticals and grant support from Takeda Pharmaceuticals and Amylin and having an equity interest in Merck, Pfizer, Eli Lilly, and Johnson & Johnson; Dr. Zieve, receiving lecture fees from GlaxoSmithKline and Kos Pharmaceuticals and grant support from Kos Pharmaceuticals, GlaxoSmithKline, Hoffmann-La Roche, Amylin Pharmaceuticals, and Novo Nordisk; Dr. Marks, receiving consulting fees from Eli Lilly and Novo Nordisk, lecture fees from Pfizer, Merck, and Takeda, and grant support from Eli Lilly, Mannkind, Merck, and Pfizer; and Dr. Davis, receiving consulting fees and grant support from Sanofi-Aventis and Amylin and lecture fees from Sanofi-Aventis. No other potential conflict of interest relevant to this article was reported.
1.論文のPECO:
P: 経口血糖降下薬の最大量やインスリン治療でも血糖コントロールが不十分な2型糖尿病退役軍人
   exclusion: 糖化ヘモグロビン7.5%未満,6ヶ月以内に心血管イベントを発症,重症心不zねん,重症狭心症,余命7年以内,BMI>40,血漿クレアチニンレベル>1.6mg/dL,ALTが正常上限の3倍以上
E: 集中治療: 最大量で開始し,HbA1c 6%未満にならなければinsulin追加
C: 標準治療: 半量で開始し,HbA1c 9%未満にならなければinsulin追加
   それ以降の薬剤の変更は,プロトコールガイドラインと現場での評価によって決めた.
   BMI>27ではmetformin+rosiglitazone
   BMI<27ではglimepiride+rosiglitazone
   最終的に両群のHbA1cの差が1.5%になるようにする.
   それ以外の心血管危険因子を調節するような治療は,両群で一致するように治療した.
   ADAの推奨による治療ガイドラインを用いて,血圧と脂質のコントロールを行い,食事,運動,糖尿病教育については,全ての患者で行った.
   全館邪で,禁忌のない限り,アスピリンとスタチンを投与した.
O: primary(複合):複合心血管イベントのいずれかが最初に起こるまでの時間
    心血管イベント:心筋梗塞,脳卒中,心血管死,心不全の新規発症と増悪,心血管,脳血管,末梢血管疾患への外科的手術,
    手術不能の冠動脈疾患,虚血性壊疽
   secondary:二次性心血管アウトカム
    狭心症の新規発症と増悪,一過性脳虚血発作の新規発症,間歇性跛行の新規発症,致命的四肢虚血の新規発症,総死亡
    副次的アウトカム:細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害),低血糖を含む副作用
※細小血管障害の評価
網膜症:
 年1回眼底検査で評価した.
 研究開始時と5年後に7分割ステレオ眼底撮影を行った.
 23-point Early Treatment Diabetic Retinopathy Study grading scaleを用いて,増殖性糖尿病性網膜症の新規発症への進行を定義した.
 網膜症の進行はスケールが2点増加することで定義した.
腎症:
 GFRは血漿クレアチニンレベルに基づいて推定された.
 重症腎症は,血漿クレアチニンレベルの倍加,クレアチニンレベルが3mg/dL以上,GFRが15ml/min未満のいずれかの起こったものと定義された.
 アルブミン尿の進行は,毎年の受診で,2回以上のアルブミン尿の増加が改善レベルに戻ることなく起こったものと定義された.
神経障害:
 年1回評価した.
 単神経障害は,単神経障害,多発単神経障害,大腿神経障害と定義した.
 末梢神経障害は神経根障害,多神経障害,糖尿病性筋萎縮症,神経症性潰瘍で定義した.
 自律神経障害は,症候性起立性低血圧,胃蠕動不全,神経因性膀胱,糖尿病性下痢で定義した.
 神経障害の内訳は,これらのうち最初に発症したものと定義した.
※本研究では,治療薬と財政支援は,Sanofi-Aventis,GlaxoSmithKline,Novo Nordisk,Roche,Kos Pharmaceuticals,Amylinの各社が提供した.
2.ランダム割付けされているか?: されている,中央割付け方式で割り付けられており,研究施設がからはランダム割り付けコードにアクセスできなかったので,concealmentもされている
 6人のブロックを用いたpermuted-block design(順序を変えたブロック法)を用い,さらに研究施設,大血管イベント発症の既往,インスリン使用の有無により層別化した.
3.Baselineは同等か?: 同等.
 患者背景:(標準治療群 vs 集中治療群)
  平均年齢: 60.3±9.0歳 vs 60.5±9.0歳,p=0.64
  診断からの年数: 11.5±7.0年 vs 11.5±8.0年,p=0.96
  CVD既往: 40.9% vs 39.8%,p=0.62
  細小血管障害既往: 両群併せて62%
  baseline A1c: 9.4±2.0% vs 9.4±2.0%,p=0.91
  BMI: 31.2±4.0 vs 31.3±3.0,p=0.61
 使用治療薬:
  metformin: 94.7% vs 86.9%
  thiozolidine: 91.7% vs 58.3%
  SU: 86.6% vs 73.8%
  alfa-GI: 23.2% vs 5.1%
  insulin: 77.3% vs 55.4%
 最終A1c:
  標準治療群: 8.4%
  集中治療群: 6.9%
4-1.ITT解析か?:
 ITT解析されている
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?: ない.ランダム割り付けの1791人に対し,解析の760人+772人=1532人が残っているため,追跡率は(760+772)/1791=85.5%
5.マスキング(盲検化)されているか?: オープンラベル.ただし,Outcome評価者はマスキング(PROBE).
6.症例数は十分か?: 
 有意差はないが,集めた症例は1791人で,予定サンプルサイズの1700人を超えているので,足りていると言える.
 ただし,当初の予定よりも,脱落者が多かった.
 予定された症例数: 1700人(5%の脱落を考慮)
 治療効果の大きさ: 複合心血管アウトカムを21%減少(標準治療群40.0%,集中治療群31.6%発症)
 alfa level: 5%(両側)
 検出力: 86%
7.結果の評価:
追跡期間は中央値5.6年
メインとなる結果はFigure 3にある(標準治療群 vs 集中治療群).
心血管イベント: 0.29% vs 0.26%,0.88(0.74〜1.05),p=0.14
心血管死亡: 1.32(0.81-2.14),p=0.26
突然死:  4(0.44%) vs 11(1.23%),p=0.08
網膜症: increase of 2 steps in severity of disease 22.1% vs 17.0%,p=0.07
腎症: any increase in albuminuria 13.8% vs 9.1%,p=0.01
神経障害: autonomic 5.2% vs 8.2%,p=0.07
研究開始時のインスリン使用状況(p=0.37)と,心血管疾患発症の既往の有無(p=0.92)は,治療効果に影響しなかった.
低血糖発作の結果は,Table 2にある.
これによると,集中治療により3倍くらい低血糖発作が多く発症することがわかる.
この他にも,重篤な副作用の発症は,集中治療群24.1%,標準治療群17.6%で,集中治療群の方が有意に多かった(p=0.05).
重篤な副作用のうち最も多かったのは呼吸困難で,集中治療群に多かった(p=0.006).

ディスカッション:

  • 発症から11年経過している血糖コントロール不良患者に血糖の集中コントロールを行っても,尿中アルブミンが増えるのを抑制する以外の効果はみられなかった.
  • むしろ,突然死は有意差がなかったものの,3倍に増えており,血糖の集中コントロールがかえって害となる危険が示唆された.
  • この研究では,なぜ両群ともrosiglitazoneを必須薬剤にしたのか,理由が不明である.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • 発症から11年血糖コントロール不良だった糖尿病患者には,厳格な血糖コントロールはすべきではない.
  • 糖尿病歴の長い患者では,A1c 6.9%(日本の測定系JDS値ではHbA1c 6.5%)にするのは危険で,A1c 8.4%(日本の測定系JDS値ではHbA1c 8%)が良い.

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