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なんごろく−糖尿病

 ACCORD

Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, Gerstein HC, Miller ME, Byington RP, Goff DC Jr, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, Grimm RH Jr, Probstfield JL, Simons-Morton DG, Friedewald WT.
Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes.
N Engl J Med. 2008 Jun 12;358(24):2545-59. Epub 2008 Jun 6.
PubMed PMID: 18539917.

チェックシートは はじめてトライアルシート5.5

背景: 疫学研究では,2型糖尿病患者において,糖化ヘモグロビンと心血管イベントには関連性が示されている.
カテゴリー: 予防
研究デザイン:
 ランダム化比較試験
資金源: National Heart, Lung, and Blood Institute,National Institutes of Health,National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases,National Institute on Aging,National Eye Institute; by the Centers for Disease Control and Prevention,General Clinical Research Centers
以下の会社からは,薬剤,器具などの供与を受けた.Abbott Laboratories,Amylin Pharmaceutical,AstraZeneca,Bayer HealthCare,Closer Healthcare,GlaxoSmithKline,King Pharmaceuticals,Merck,Novartis,Novo Nordisk,Omron Healthcare,Sanofi-Aventis,Schering-Plough
利益相反: Dr. Gerstein reports receiving consulting fees from Sanofi-Aventis, GlaxoSmithKline, Merck, Abbott, Novo Nordisk, Novartis, and Lilly, lecture fees from Sanofi-Aventis, GlaxoSmithKline, Merck, and Lilly, and grant support from Sanofi-Aventis, GlaxoSmithKline, King, and Merck and holding a patent that is completely assigned to Sanofi-Aventis, for which he receives no royalties or benefit; Dr. Goff, receiving grant support from Merck; Dr. Bigger, receiving grant support from McMaster University; Dr. Buse, having an equity interest in Insulet, MicroIslet, and dLife and receiving grant support from Bristol-Myers Squibb, Novartis, Pfizer, Novo Nordisk, Amylin, Eli Lilly, and Medtronic; Dr. Cushman, receiving consulting fees from Novartis, King, Takeda, and Sanofi-Aventis, lecture fees from Novartis, and grant support from Novartis, Hamilton Health, and Abbott; Dr. Genuth, receiving consulting fees from Merck, Mannkind, Sanofi-Aventis, and Novartis and lecture fees from Lilly and having an equity interest in Bristol-Myers Squibb; Dr. Grimm, receiving lecture fees from Merck, Pfizer, and Novartis; and Dr. Probstfield, receiving consulting fees from King and grant support from King and Sanofi-Aventis. No other potential conflict of interest relevant to this article was reported.
1.論文のPECO:
P: HbA1c≧7.5%の心血管疾患を持つ40〜79歳の2型糖尿病患者
またはHbA1c≧7.5%の動脈硬化,アルブミン尿,左室肥大,2つ以上のCVD risk factor(脂質異常症,高血圧,現在喫煙者,肥満)のいずれかを持つ55〜79歳の2型糖尿病患者
E: 目標HbA1c 6.0%未満
C: 目標HbA1c 7.0〜7.9%
O: primary(複合): 非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管死
   secondary:総死亡,治療必要な低血糖
この研究は,double two-by-two factorial designである.介入は,血糖コントロール,降圧療法,脂質低下療法であり,血糖コントロールと降圧療法のtwo-by-twoと血糖コントロールと脂質低下療法のtwo-by-twoが同時に行われている.本研究では,血糖コントロールを厳格に行ったのと標準治療を比較した結果を示した論文である
2.ランダム割付けされているか?: されている,はっきり書かれていないが,他施設共同研究であり,concealmentもされていると推定される
3.Baselineは同等か?: 同等.CPRとインスリン抵抗性についての比較のあれば分かるが,記載されていない
 患者背景:(集中治療群 vs 標準治療群)
   平均年齢: 62.2±6.8歳 vs 62.2±6.8歳
   診断からの年数: 10年 vs 10年
   CVD既往: 35.6% vs 34.8%
   baseline A1c: 平均8.3±1.1% vs 8.3±1.1%,中央値8.1 vs 8.1
   BMI: 32.2±5.5 vs 32.2±5.5
 試験中の使用治療薬:
   metformin: 94.7% vs 86.9%
   thiozolidine: 91.7% vs 58.3%
   SU: 86.6% vs 73.8%
   alfa-GI: 23.2% vs 5.1%
   insulin: 77.3% vs 55.4%
4-1.ITT解析か?: ITT解析されている
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?: ない.追跡率は(26+24)/10,251=0.49%
5.マスキング(盲検化)されているか?: オープンラベルなので,マスキングされていない.fenofibrateはマスキング.降圧療法はオープンラベル.
6.症例数は十分か?: 
 有意差はない
 集めた症例は10,251人で,計算されたサンプルサイズ10,000人(論文中には書かれていないが,研究デザインの論文Am J Cardiol 2007;99:S21iに書かれている)を超えているので,十分足りている
 primary outcomeの発症率: 年率2.9%(5.6年間)
 治療効果の大きさ: 15%減少
 alfa level: 5%(両側)
 検出力: 89%
7.結果の評価:
中間解析で集中治療群の死亡率が上昇したため,追跡期間平均3.5年(中央値3.4年)で試験中止した
血糖コントロール
 最終A1c:
   集中治療群: 8.1% → 6.7%
   標準治療群: 8.1% → 7.5%
メインとなる結果はTable 4にある(集中治療群 vs 標準治療群).
primary endopoint(複合心血管イベント): 6.9% vs 7.2%,HR 0.90(0.78〜1.04),p=0.16
 cardiovascular events
 非致死的心筋梗塞: 3.6% vs 4.6%,HR 0.6(0.62〜0.92),p=0.004
 非致死的脳卒中: 1.3% vs 1.2%,HR 1.06(0.75〜1.50),p=0.74
 心血管死: 2.6% vs 1.8%,HR 1.35(1.04〜1.6),p=0.02
secondary endpoint
 総死亡: 5.0% vs 4.0%,HR 1.22(1.01〜1.46),p=0.04
 医学的治療必要な低血糖: 10.5% vs 3.5%,p<0.001
 対処が必要となった全ての低血糖: 16.2% vs 5.1%,p<0.001
 水貯留: 70.1% vs 66.8%,p<0.001
 研究開始時から体重増加>10kg: 27.8% vs 14.1%,p<0.001

サブグループ解析の結果は, Figure 3にある.
サブグループ間の交互作用に有意差があったのは,primary outcomeについては,心血管イベントの既往と研究開始前のA1c≦8.0%のみで,総死亡については,全てに有意差がなかった.

ディスカッション:

  • 本研究では,primary outcomeには有意差がみられなかった.
  • 死亡率は有意に増えた.
  • 低血糖発作も有意に増えたが,これがが死亡率の差に繋がっているかどうかは不明.
    その後の後ろ向き疫学解析(BMJ 2010;340:b4909)では,死亡率の増加は低血糖発作の増加が原因ではないと示唆されている(詳細はこちら).
  • Table2をみると,集中治療群で多かった特に多かった(20%以上差があった)処方は,Repaglinide(50.2% vs 17.7%,32.5%差),Thiazolidinedione(91.7% vs 58.3%,33.4%差),Any insulin(77.3% vs 55.4%,21.9%差),Any bolus insulin(55.3% vs 35.0%,20.3%差)であり,これらの薬剤,特にThiazolidinedioneが低血糖とは独立して死亡率を上げた可能性もある.
  • サブグループ解析(Figure 3)でprimary outcomeについて,心血管イベントの既往がないものの方が,血糖の集中コントロールでイベント発症を抑制できた.これはつまり,まだ合併症が起こっていないような糖尿病歴の短い患者では血糖の集中コントロールが有効である可能性を示唆している.さらに,研究開始前にA1c≦8.0%だと依然死亡率は増加傾向にあるものの,心血管イベントの発症を抑制した.つまり,これまでの血糖コントロールが良い場合は,悪い場合と比べて,まだ治療の見込みがあるということである.

結局のところ,どうすればいいのか:

  • 糖尿病歴の長い患者の血糖コントロールは,死亡率を上げる可能性があるので,厳格にすべきではない.特に,これまで血糖コントロールが悪かった患者では,積極的な治療は避けるべきである.
  • 糖尿病歴の長い患者では,A1c<6.0%(日本の測定系JDS値ではHbA1c<5.6%)にするのは危険で,A1c 7.0〜7.9%(日本の測定系JDS値ではHbA1c 6.6〜7.5%)が良い.

コメント:

  • サブ解析が発表され,simvastatinにfenofibrateを加えた脂質併用療法の効果を見たサブ解析(NEJM 2010;362:1563)では,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管死の複合アウトカムの発症は2.2%と2.4%でHR 0.92(0.79〜1.08),p=0.32で有意に減らすことはできませんでした.
    また,全ての副次アウトカムでも有意差はなく,年死亡率も1.5%と1.6%でHR 0.91(0.75〜1.10),p=0.33と有意差はありませんでした.
    ただ,性差で異質性があり,男性では併用効果のメリットがあるが,女性では害の可能性がありました(交互作用検定でp=0.01).
    また,ベースラインが中性脂肪高値とHDLコレステロール低値の両方がある患者では併用効果にメリットがある可能性がありました(交互作用の検定p=0.057).
  • 同時に発表された,厳格な血圧コントロールの効果を見たサブ解析(NEJM 2010;362:1575)では,1年後の収縮期血圧が119.3mmHgと133.5mmHgと違いがあったにもかかわらず,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管死の複合アウトカムの発症年率は1.87%と2.09%でHR 0.88(0.73〜1.06),p=0.20で有意差はなく,年死亡率も1.28%と1.19%でHR 1.07(0.85〜1.35),p=0.55と差がありませんでした.
    ただ,脳梗塞発症は年率0.32%と0.53%でHR 0.59(0.39〜0.89),p=0.01で有意に減り,重篤な副作用は3.3%と1.3%で,有意に増えました(p<0.001).
    この重篤な副作用は,主に低血圧(0.7% vs 0.04%, p<0.001),徐脈または不整脈(0.5% vs 0.13%,p=0.02),高カリウム血症(0.4% vs 0.04%,p=0.01)でした.
    また,血清クレアチニンも有意に上昇しました.
  • さらに,糖尿病網膜症に対する血糖コントロール,血圧コントロール,脂質コントロールの効果を検討したサブ解析(ACCORD Eye Study,NEJM 2010;363:233)では,網膜症予防効果は,厳格な血糖コントロールで10.4%から7.3%に減少(調整済みOR 0.67(0.51〜0.87)),fenofibrate追加による脂質低下療法で10.2%から6.5%に減少(調整済みOR 0.60(0.42〜0.87)したが,厳格な血圧コントロールでは8.8%から10.4%と有意差がないながら調整済みOR 1.23(0.84〜1.79)とやや増加傾向にあることが分かりました.ここでの網膜症進展の定義は,網膜光凝固や水晶体切除を必要とする,少なくとも3段階以上悪化したものとされていました.

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