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なんごろく−脳卒中

 脳血栓症急性期におけるエダラボンの効果

Edaravone Acute Infarction Study Group.
Effect of a novel free radical scavenger, edaravone (MCI-186), on acute brain infarction. Randomized, placebo-controlled, double-blind study at multicenters. Cerebrovasc Dis. 2003;15(3):222-9.
PubMed PMID: 12715790.

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カテゴリー: 治療
研究デザイン:
 ランダム化比較試験
資金源: (田辺三菱製薬の前身の)三菱ファーマ株式会社から資金援助を受けている
利益相反: 全く記載がないので不明
1.論文のPICO:
P: 1993年12月〜1996年3月に行われた.
   選択基準:
     1)虚血性脳卒中発症から72時間以内の入院患者で,血栓性と塞栓性の両方を含む
     2)意識状態がJCSで0(清明)〜30(機械的ないしは言葉による刺激で覚醒する)
   除外基準:
     機械的刺激で覚醒しない(レベル100〜300)患者
I: edaravone 30mgを含む20mlのアンプルを100mlの生食に溶かし,30分で静注し,12時間毎に投与,14日間継続.
C: placebo
O: primary:発症3ヶ月以内の退院時,また3ヶ月の時点でのmodified Rankin Scale
   secondary:発症3,6,12ヶ月後のmodified Rankin Scale
両群とも,必要に応じて10%グリセオールの400〜600ml静注を行った.
線溶薬(ウロキナーゼ,rt-PA),citicoline,ozagrel sodiumは研究中に使用しないようにした.
2.ランダム割付けされているか?: されている.
中央割付け方式で行われており,concealmentもされていると思われる.
3.Baselineは同等か?: 意識状態について,edaravone群の方がplacebo群よりもGrade Iの患者が多く,Grade IIの患者が少ない.これは,edaravone群に有利に働く可能性がある.
入院時のmodified Rankin Scaleが比較されていないのは致命的
4-1.ITT解析か?: はい.
”intent-to-treat analysis”と書かれている.
4-2.結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか?: ない.
Primary outcomeについては,全例解析に組み込まれている.
5.マスキング(盲検化)されているか?: 二重盲検法とあるので,マスキングしているとされている.
ただし,ここで言う二重盲検法では,患者と治療者がマスキングされているものと考えられるが,アウトカム評価者と統計解析担当者がマスキングされているかどうかは不明.
6.症例数は十分か?: 有意差があるので,症例数は十分.
ただし,症例数の計算はされていない.
7.結果の評価:
メインとなる結果はTable 3にある.

全体の分布で見ると,Edaravone群の方がmodified Rankin Scaleが有意に優れている.
上記の表を図示すると以下のようになる.

  
  • 上記の図を見ると,確かに,modified Rankin Scale 0,つまり完全に症状がない患者はEdaravoneの方が多い.しかし,modified Rankin Scale 1,つまり自覚症状はあるが機能的な異常は見られない患者は両群で同等であり,modified Rankin Scale 2,つまり軽度の機能障害がある患者はPlacebo群で多くなっている.そして,modified Rankin Scaleが3以上までではほとんど両群の間で差が見られない.つまり,この結果を見る限り,Edaravoneはmodified Rankin Scaleが1,2の患者を0.5ポイント改善させる程度の効果を持つが,modifed Rankin Scale 3以上の患者では効果は期待できないと考えられる.
  • しかし,baselineの特徴を見る限り,Edaravone群の患者の方が軽症であり,outcomeが「最終的なmodifed Rankin Scale」となっている以上,本研究ではEdaravone群に有利になっており,Edaravoneの効果が過大評価されているといえる.
    これは,outcomeを「最終的な神経障害の程度」ではなく,「改善」(すなわち「変化」)を用いているオザグレルの研究とは対照的である.
  • また,有意差がないものの,リハビリテーションを行っている患者がオザグレル群ではプラセボ群の2倍多く(71% vs 36%),これもオザグレル群に有利なバイアスとなる.
  • 本研究に参加した患者は,平均年齢は66歳,血栓性が79.2%,塞栓性が18.0%で,意識障害はないか1桁レベルがほとんど,ほとんど(88.9%)の患者でグリセオール投与が行われた.
結局のところ,この治療法は使えるのか:
  • 本研究では,もともとEdaravone群に割り付けられた患者の方が軽症である上に,outcomeに「神経学的状態」という最初から軽症患者に有利な指標を用いた.そのため,本研究はもともとEdaravone群の方が治療効果が出やすいという重大なバイアスがあり,その結果もEdaravoneがわずかに有効とする結果が出た.したがって,この研究の結果を以てオザグレルに脳梗塞の治療効果があるとは言い難い.
  • 本研究の結果を根拠に,Edaravoneを脳卒中急性期治療に用いることは,推奨されない.

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